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工業会の概要

写真が上達するコツ
第2回 構図を意識すると写真が変わる<前編>

誤解を恐れず言い切ると、写真は「 絵画 」そのものです。魅力的な絵画が絶妙な構図で描かれているのと同じで、写真も構図( フレーミング )を考えて撮影するだけで見栄えのする画になります。今回と次回の2回にわたって、いくつもある写真の構図から代表的なものをピックアップして、作例と共に紹介していきましょう。

■ 全体のバランスが良くなる-三分割構図

図1

三分割グリッド 縦横2本ずつある線を「 分割線 」
各分割線の交点を「 分割点 」と呼ぶ
 
▼写真1 グリッド有りの写真

三分割構図を使って撮影した写真。海面を分割線に、富士山頂を分割点に置くことで全体のバランスをとる
 
▼図2

全体のバランスを考えるときは、目に見える景色を頭の中で単純な線と形に置き換えると考えやすい
 
▼写真2 グリッド有りの写真

分割点にトンボの頭を配置。
 

三分割構図 ー 主題と背景のバランス

前回の記事で、「 写真でもっとも大切なことは伝えたいことが伝わること 」と書きました。また、「 フレーミング( 構図 )は写真を観る人の視点を、見せたいところに誘導するためのもの、また、写真から受ける印象を決定づけるもの 」とも。このことを踏まえた上で、魅力的な写真を撮るための構図を紹介していきますが、数ある構図の中で、これだけは必ず覚えておいて欲しいのが「 三分割構図 」です。

最近のデジタルカメラには、背面の液晶画面やファインダー中に【図1】のようなグリッド( 格子 )を表示できる機能があります。このグリッドを三分割グリッドと呼び、三分割構図をとるときに利用します。

三分割構図では、三分割グリッドに4つある分割点( 縦横2本ずつある分割線の交点 )のいずれかに、主題である被写体の重要な部分を配置します。

たとえば、写真1のような風景を撮るときは富士山の山頂を、写真2のような昆虫写真では、昆虫の中心となる部位を分割点に配置すると、画面全体のバランスが良くなることが多いのです。また、写真1のように空と富士山、そして海面の3つの要素で画面を大きく分割( 図2 )されるような写真の場合は、海面の水平線を上下に2本走る横の分割線のどちらかに配置するとバランスが良くなりやすいのです。これは地平線でも同じです。

分割点に主題となる被写体の中心部分を配置する理由は、分割点辺りに写真を観る人の視線が集中しやすいからです。また、分割線を境にして海面や水面、地平を配分するのは画面全体のバランスを整えるためです。このとき、必ずしも分割点と分割線に対して厳密に合わせる必要はありません。多少のずれがあっても見た目にバランスがとれていれば問題はないのです。

写真全体のバランスをとるときは、目に見える景色を頭の中で図2のように単純な線画に置き換えてみましょう。そうすることで、余計なものに目を奪われることなくバランスだけを考えられるようになります。この単純な線画に置き換える方法は、風景写真だけではなく、スナップやポートレート、ブツ撮りなど、すべての写真の構図を考える上で必ず役に立つはずです。

■ 大きな被写体を壮大にみせる-三角構図

図3

三角グリッド  画面全体を縦に三分割したときの1/3の点を頂点とする三角形のグリッド。この三角形の内側、あるいは各辺に被写体を配置するのが三角構図
 
▼写真3 グリッド有りの写真

大きな建造物などを見上げて撮るときは三角構図を使うとよい。バランス良く被写体の壮大さを表現できる
 
▼図4

三角構図+三分割構図  三分割グリッドを利用し、上辺の中点を頂点とする二等辺三角形のグリッド。この中、あるいは各辺に被写体を配置する
 
▼写真4 グリッド有りの写真

シンメトリックな三角構図を使うと、
多少平面的になるが、インパクトは強くなる
 
▼写真5 グリッド有りの写真

シンメトリックな三角構図を使って、奥行き感とともに御神輿に視線を集める効果を狙った写真
 

三角構図-立体感・奥行き感

構図の基本中の基本でもある三分割構図ですが、この構図だけでは表せないものがあります。それは被写体の立体感や、写真全体の奥行き感です。そこで覚えてもらいたいのが、三分割構図をベースにした「 三角構図 」( 図3 )です。

どのような写真を撮るときに三角構図を使うのかというと、たとえば写真3のような大きな建造物を見上げて撮る場合です。東京タワーは遠景で撮るのも魅力的な被写体ですが、こうして至近距離から見上げるようにして撮ると迫力がでます。至近距離だと構図をとるのが難しいという意見をよく耳にしますが、この三角構図を意識すると意外に簡単にまとめられるはずです。

グリッド有りの写真3を見ればわかりますが、被写体のすべてを三角形の中に収める必要はありません。あくまでも構図のグリッドはガイドラインとして捉えましょう。

図4は、三角形の頂点が上辺の中点に位置している構図で、完全な左右対称( シンメトリック )な構図です。この構図は、図3にくらべて多少平面的で画面の変化は少なくなりますが、画全体のインパクトが強くなります。同じ被写体でも少し構図を変えただけで画の表情は大きく変わります。写真4をみてもらえば、その効果の違いがよくわかると思います。同じ日の同じ時間に撮った東京タワーの写真でも、三角形の頂点の位置をずらしてフレーミングしただけで、画の表情はまったく違ったものになっています。これからわかることは、同じ被写体であっても、観る人にその被写体をどのように見せたいのかで構図の手段を変える必要があるということです。

三角構図は、使いかた次第で奥行き感も表現できます。写真5図4のシンメトリックな三角構図を使って、奥行き感だけではなく、見る人の視線が御神輿の鳳凰に集まる構図を意識してみました。三角構図の特長は、三角形の頂点に向かって視線が誘導される効果があることも覚えておきましょう。

 

 

■ 番外編:セオリーを知ってセオリーを破る

▼写真6 グリッド有りの写真

主題の樹木を分割点から離し、空のスペースを大きくとることでアンバランスになって不安感が出てくる。
 
▼写真7 グリッド有りの写真

ポートレートでも基本は三分割構図を使う。
画の中には実線として存在しない「 視線 」を意識した構図をとる必要がある
 

冒頭の段で「 バランスが良くなりやすい 」と曖昧な書き方をしたのは、構図のセオリーどおりに撮ったからといって、必ず魅力的な写真になるとは限らないからです。たとえばグリッド有りの写真6を観てください。主題となりうる樹木を分割点から大きく右に、さらに地面を分割線の下方向にずらして配置しています。この結果、空の配分が大きくなり、さらに全体的に若干アンバランスになることで、少しばかり空虚な印象を画から受けると思います。しかも写真6はヨコイチ( 写真の横方向が長い構図 )が多く使われる風景写真ではめずらしいタテイチ( 写真の縦方向が長い構図 )写真です。タテイチ写真は、主観的構図と呼ばれ、撮影者の主観が表現されやすい構図( これに対してヨコイチは客観的構図と呼ばれます )とされています。写真6をタテイチにしたのはもちろん意図的で、撮影者( 筆者 )の主観を強く打ち出したかったからです。つまり、この写真で伝えたかったのは、茫漠とした風景の中での撮影者の孤独と喪失感だったわけです。写真で伝えたいことのためには、セオリーを知った上で無視することも大切なんだと覚えておいてください。

最後に、ポートレートの構図を少しだけ紹介しておきましょう。写真7は人物のバストショットですが、グリッドのある写真7をみてもらえばわかるとおり、三分割構図を使っています。ポイントは、人物の重要な要素、目を分割点に置いていることです。注意すべき点は、もし人物の背後にある壁掛けライトがないとしたら、この構図は成立しないということと、人物の目線が左方向を観ているとしたら印象が大きく異なるということの2つです。壁掛けライトがないと、ここの空間が大きく空いてしまい、無駄な空間のあるバランスの悪い画になります。その場合は、空間をなくすようにフレーミングしなおす必要があります。次に、視線の方向はポートレートでは大きな意味があり、視線の先に作る空間の広さとともに画から受ける印象に大きく関係します。ここではポートレートの構図の詳細は省略しますが、覚えておいて欲しいのは、ポートレートでも三分割構図が基本的に使えるということと、画には存在しない視線という「 線 」を意識して構図をとる必要があるということです。

 

次回は、少し高度な5つの構図と、その作例を紹介します。お楽しみに。

著者:薮田 織也( Oliya T. Yabuta )

■ 人物・光景写真家 ■  テレビ番組制作会社、コンピュータ周辺機器メーカーの製品企画と広告制作担当を経て、ライター兼人物写真家に。初心者にわかりやすい解説が得意。 2003 年から StudioGraphics on the Web の創設メンバーとして活動。現在は八王子に住み、光景写真と人物写真を撮りながら、写真のセミナー活動と著作に専念している。

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