写真・映像用品年鑑2017
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258NDフィルターとは、Neutral Density Filterの略語です。光の三原色のB(ブルー)・G(グリーン)・R(レッド)の各色相の光を等分に吸収する性質を持っていて、ニュートラルグレー(中性灰色)になっています。このフィルターはカラーバランスに影響を与えず、フィルターを透過する光の量を抑えることができ、撮影時の絞りとシャッター速度のコントロールの幅を大きく広げることができます。絞りやシャッター速度を変えずに露光量を調整現在のデジタルカメラは高感度特性が高く、フィルムでは撮影が難しかった光の乏しい条件下でも撮影が可能になっています。その反面、低感度側の幅は狭く、明るい光の下で絞りを開き、遅いシャッター速度を切りたいときにはNDフィルターが不可欠です。たとえば、使用しているデジタルカメラのISO感度を最も低い100にセットし、絞りF8・1/125秒で適切な露出が得られる場面で絞り値はそのまま、シャッター速度1/8秒で写したいと思ったときは、透過光量を1/16に減少させる濃度のフィルターを使えばいいのです。当然その逆も可能で、シャッター速度を1/125秒に固定したまま絞りをF2まで開き、浅い被写界深度を活用することもできます。NDフィルターの種類このように露光量の調整に威力を発揮するNDフィルターの材質は、ガラス製と薄膜樹脂の2種類があります。一般的に使用されるのはガラス製で、透過光量を1/2、1/4、1/8、1/16に減少させるものが主流ですが、特殊な撮影意図の下で透過光量を1/100~1/1000まで減少させる高濃度のものや、1/2.5~1/1000相当の範囲で可変できるものも用意されています。これに対し薄膜樹脂製のものは、濃度変化が1/3絞り相当で細かい露出調整が可能です。また2枚重ねることで濃度を上げ、透過光量をもっと下げることもできます。NDフィルター使用上の注意点使用上の注意点の第一は、ISO感度が自動的に変わるISO AUTOを解除し、使用したい感度にマニュアルセットすることです。ISO AUTOのままNDフィルターを装着すると感度が自動的に高くなり、思ったとおりの絞り値やシャッター速度が使用できないことがあります。第二の注意点は、光学ファインダー(OVF)のデジタル一眼レフではファインダーが暗くなるので装着前にフレーミングや焦点調節を行ってから取り付けましょう。なお一眼レフのライブビュー(LV)や、ミラーレス一眼の電子ビューファインダー(EVF)は明るさを自動的に補正してくれますが、電池の消耗を防ぐために事前にフレーミング等を行った後に取り付けたほうがよいでしょう。また三脚は必需品です。絞りとシャッター速度のコントロール幅を広げるNDフィルター色彩に影響を与えずに光量を減らすNDフィルターカメラのISO感度がISO100~1600の範囲で自動シフトする、ISO AUTOで撮影しました。暗い光線状態にもかかわらず、ISO感度が1600になったため1/100秒のシャッター速度になり、水の流れが中途半端な描写になりました。ISO感度を100に落とし、透過光量を1/8にするND8をレンズに取り付けて写しました。シャッター速度を0.6秒まで遅くすることができ、水の流れが綿を敷いたように描写されています。地下道で、カメラのISO感度を最高の25600に設定して写しました。絞りをF16まで絞ったにもかかわらず1/50秒のシャッター速度になりました。ISO感度を100に落とし、絞りは変えずに透過光量を1/4にするND4を使って撮影したものです。3.2秒の露出となり、人の姿が消えてしまいました。

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