写真・映像用品年鑑2017
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282かつて、大型カメラで日本各地を撮影して歩いていたころは、カメラ機材や4×5判のフィルムホルダー、三脚などで荷物が重くなり、山を歩くのも嫌になるほど苦労した経験がよみがえります。それが、高画素のデジタルカメラの出現で驚くほど撮影が楽になりました。風景写真は、車から近い場所ばかりが撮影地ではないので、撮影機材の重量は体力や撮影意欲におおいに影響を及ぼします。またフィルムを使用しているときの撮影では、使えるフィルムに限りがあったので、レンズを替えて違うカットを撮りたくてもあきらめざるを得ないことがたくさんありました。しかし今は、メモリーカードとバッテリーさえ余分に持っていけば一日中撮影できます。結果、さまざまな視点での撮影が可能となり、写真に多くのバリエーションが生まれました。たとえば水辺に行った時には、水面には必ず動きがあるので、まず流れの様子をよく見ます。散桜が流れている春、青空や雲を写す夏、落ち葉が浮かび行く秋、氷る冬など、多くの被写体があるはずです。そんな撮影の時に必要なのが円偏光(C-PL)フィルターであり、NDフィルターです。円偏光(C-PL)フィルターは水面の反射を除去してくれるので回転させながら効果を調整し、NDフィルターはシャッター速度を遅くするときに使います。ほんの少しの動きでも、紅葉の落ち葉などは黄色や赤の移動の線をつくり出してくれます。フィルターなしでは表現できない世界がそこにあり、フィルターによって写真が「作品」としてでき上がるのです。水の流れは、速さによってシャッター速度を変えるので、一枚撮影してはモニターで確認し、使用するNDフィルターの濃さを決めます。どのくらいの変化がでたのか?をいろいろと調整したいのでNDフィルターは濃度の違うものを何種類か常に持参しています。このような撮影方法でイメージしたものを的確に表現していきます。現在発売されている写真用品は、デジタル時代に対応した優れものが多く、いままで使っていたフィルム時代のものを更新しようかという気にさせてくれます。実は、カメラとレンズだけでは意外に撮影の幅が狭くなってしまうもの。自分の撮影スタイルに合った写真用品を選んで活用したいものです。しんかい・よしお●1953年生まれ、長野県出身。株式会社写真弘社勤務を経て、フリーランスのフォトグラファーに。1979年より日本各地の風景を精力的に撮影。写真展などで作品を発表しながら、ポスターやカレンダー、旅行パンフレット、雑誌などに作品を提供している。公益社団法人 日本写真家協会会員、日本風景写真家協会会員。HP「四季の彩り」  http://www.shinkai-photo.com/宮城県・松島C-PLフィルターを使用して、雲をクッキリと見せる。徳島県・轟滝C-PL+ND8フィルターを使用、手前の水に動く落葉の動きを出す。シャッター速度4秒。新海良夫(表紙撮影)デジタルカメラが風景の見方を変えた

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