写真・映像用品年鑑2017
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283風景写真を撮る時、車から歩く距離が近いか遠いかで機材を選ぶようにしています。三脚、カメラバッグは特に重要で、重さや使いやすさで判断しないと後で後悔します。私の場合、車を止めたところから歩く距離が30分以内かが基準になります。特に注意することは、安全に撮影すること。夕方近くになりそうなときには、必ずライトと水、食料を持ってゆきます。通常でも、LEDの小型ライトと熊よけの鈴はカメラリュックには入れています。服装も大切。川や沼の近くでは長靴、山登りの時には登山靴。冬には防寒長靴も必要です。写真を撮るためには、機材や用品・アクセサリーなど綿密に準備をしないと撮影どころではなくなる場面に遭遇します。かつて、初冬の尾瀬ヶ原で朝霧に包まれてレンズが曇り困ったことがありました。このときは、レンズクリーニングペーパーを持参するのを忘れてしまったのです。レンズの表面は、いくら他のもので拭いても曇ってしまい撮影できないというように、ひとつの忘れ物が取り返しのつかない結果に繋がるのです。フィルター類、予備バッテリー、レリーズなど、いい写真を撮るにはいい準備をする、当たり前かもしれないが気をつけたいことです。デジタルカメラになってからは、撮影の考え方も変わりました。自然風景の撮影を主にしている私は、いままでは自然条件と天候が最も大切と考えていました。よく晴れた青空の写真はさわやかな風景であり、一面に花の咲く大地は季節の色、見事に色づいた紅葉は日本の美など、色調豊かな写真を撮ることが多かったのです。しかし、フィルム時代には撮影を諦めていた光や気象条件でも、自分で意図した写真が撮れることが多いことを知りました。今では雨が降れば雨の写真を撮り、風が吹けば風の写真を撮るなど、その時の出会いで撮影することを心がけるようにしています。誰でもシャッターボタンを押せば写真が写る時代だからこそ、より高度な内容の写真を作りだしてゆく必要があります。また、写真は一期一会の出会いから生まれるもの。ふだん撮影している被写体の周りに、もっと違った視点で見ればいろいろなバリエーションを生み出すチャンスがきっとあるはずです。急速に変化する映像社会ですが、私は自然と語り合いながらゆったりとした気持ちでこれからも日本の自然風景を撮影してゆこうと考えています。自然豊かな日本の風景を、自然が持つ色彩と光で「日本の美」を表現することをコンセプトにして……。主な使用機材福島県・秋元湖C-PL+ND64フィルター使用、湖の上を流れゆく靄を白い川のように出す。シャッター速度3秒。

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