写真・映像用品年鑑2017
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284近年、インターネット環境の普及によって撮影に関するトラブルが頻発しています。その中には、スマホによる撮影・Webへのアップによる思いも寄らない事例も多く含まれますが、カメラマンのマナー違反も目立っています。写真愛好家が「傍若無人な写真オタク」と一括りにされて白い目で見られないよう、マナーを守って撮影するということを改めて意識したいものです。被写体が人物の場合、撮影に当たっては、レンズを向けただけでストレスを与えている可能性があるという自覚を持つとともに、人としての礼儀をわきまえる必要があります。また被写体が自然のときは、撮影地の現状を変えないよう、その保護を撮影よりも優先しましょう。基本的な「べからず」は●草花や木の枝など、自然の態様を復元できない状態に変えない折ったり切ったりしないことです。また、不必要に新雪に足跡をつけてしまうなども含まれるでしょう。●立ち入り禁止の場所に踏み込まない 私有地への無断立ち入り、柵や仕切りを乗り越えるのはもちろん、立ち入り禁止の制止表示には従いましょう。●ゴミや迷惑になるものを捨てない飲食物の包装紙やペットボトルなどの人工物の他にも、環境を守るための持ち込み禁止条項に触れるものにも注意が必要です。●危険が予想される行為は慎む駅のホームや線路脇、波が高い海岸などでの撮影は、自分の身はもとより、周囲の他人にまで迷惑をかける危険な行為です。●スナップ撮影は了解を得るお祭りなどの情景を撮る場合など、たとえば露店では店員もお客も一般人、無断撮影や写真の商業目的での使用はトラブルの元。撮影目的を告げて了解を得ましょう。また人ではなくても、たとえば店のディスプレイや看板なども街景の一部ではなく「そのものズバリ」となると、撮影の自由はあっても使用も自由とはゆきません。●撮影者同士のマナーを守る撮影している人の前に出ない、撮影範囲にむやみに入らない、撮影場所を独占しない、上から目線で仕切らない、など当たり前のことです。写真を公表するときには著作権と肖像権に気をつける写真には著作権があり撮影者に帰属します。そして被写体が人物であれば肖像権があり、創作物には著作権があります。撮影者にも表現の自由はもちろんあるのですが、前記したように被写体によっては撮影した写真を勝手に使えません。許可が必要です。写真の著作権は、写真家の死後50年まで保護されます。他人の写した写真を無断で修正・合成し別作品として発表した場合、著作権の侵害になります。また、写真コンテストなどで「入選作品の著作権が主催者側に帰属する」といった内容が募集要項に記されていることがありますが、本来、著作権は撮影者に帰属するものです。しかし、募集要項は一種の契約書であり、契約優先社会の今日では、著作権が主催者に帰属してしまう結果になり、十分な注意が必要です。また、別名使用や作品の無断修正、作者の創作意図の無視などは著作権法で禁じられています。肖像権とは、自分の姿(肖像)を断りなく写されたり、絵に描かれたりして他人に勝手に使用されない権利です。撮影する側からすれば、他人を写した写真を許可なく発表してはいけないということになります。肖像権には、大きく分けるとプライバシー権とパブリシティ権(有名人の持つ経済的権益保護)があります。パブリシティ権とは、有名人の肖像には経済的な価値があるので無断で広告等には使えないということです。それとは別に、人がだれでも持っているのがプライバシー権です。無断撮影や写真の公表によって、被写体となった人に不愉快な思いをさせたり被害を与えたときは、プライバシー権の侵害、名誉毀損などの訴訟になる可能性があります。現実問題として、肖像権に触れるか触れないかは微妙な問題です。公の場所でのお祭りやパレードなどで大勢の人が写っている写真なら「情景」として認められるでしょうし、同じ公の場所でも夜の公園で本人と特定できる人が写っていれば(そして不愉快に感じれば)、訴えられる可能性もあるわけです。もっとも、被写体の方の了解が得られればそんな問題は起きません。スナップなどは許可を取ってから撮影する、または写す前か後に一声かける、そして公表前には了解を得る、これが肝心です。風景に限らず、撮影をするときに必ず守らなければいけないのは「無断立ち入り」をしないということです。私有地に勝手に踏み込むことはもちろん、公共の場所では管理者の行動指示に従いましょう。 スマホ・デジタルカメラが普及し誰でもカメラマン、誰でも被写体・モデルの今は、一億総写真家時代ともいえます。そのうえ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に簡単に写真がアップできるようになり、気軽に撮って送った写真が肖像権や著作権の侵害といった思わぬトラブルを招いてしまうことも……。日本写真家協会(JPS)編の本書は、写真の撮影・公表に関する知識を「Q&A」形式でやさしく解説しています。 写真との正しいつきあい方を知り、トラブルを避けて写真を楽しむために是非読んでおきたい一冊です。『SNS時代の写真 ルールとマナー』(日本写真家協会編 朝日新聞出版・朝日新書) 定価:本体780円+(税)ルール・マナーを守って撮影しようトラブルを防いで写真を楽しむ

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